人間−生活環境系学会のご案内

【人間−生活環境系学会設立の経緯】

 熱環境は人類を含めた全ての生物の生存に基本的に関わるもので、人間−環境系の重要な部門を構成しています。これを正しく捉え、内包する種々の課題を解明していくためには、広い分野の研究者の有機的な協力により人間−熱環境系として体系的に把握していく必要があります。

 このような趣旨で、1967年4月、医学・生物学と工学との交流を深め境界領域の学問を発展させるため、生体調節研究会を発足しました。そして、1977年8月に空気調和・衛生工学会会議室にて第1回人問−熱環境系シンポジウムを開催しました。

 以来、「人間−熱環境系シンポジウム」は毎年1回、学術会議の後援を得て盛況裡に回を重ねて参りました。

 これまでに、人間の体温調節などに関する生理心理学の基礎データを、一般人、高齢者、身障者、子供等について蓄積し、住宅、事務所、工場、乗り物、古民家などについて熱環境を中心とした調査研究を行ってきました。

 そして、消防活動、冷凍倉庫での作業、高低圧環境作業などの特殊環境の問題、あるいは運動時の体温調節、そして夜の生活科学としての睡眠と寝具、寝室環境などの課題が議論されてきました。アプローチする側面も人体の生理心理、被服、周囲環境、建物などとあり、これらの計測方法についても人の生理心理、環境の物理計測と多方面に広がっています。

 シンポジウムを通して、医学、生理学、人間工学、空気調和・衛生工学、被服衛生学、建築学、制御工学、伝熱学などの研究者ならびに住宅、建築、繊維、医療、空調設備、制御機器、消防、自動車産業等の実際面に携わる技術者と幅広く交流を深め、多くの共同研究が行われてきました。

 実際の生活や技術に根を張った研究組織を意図してきましたが、多方面からの協力により、真に学際的なシンポジウムとして定着してきていると思われます。

【人間−生活環境系学会設立の趣旨】

 最近では、本シンポジウムの内容も熱環境からなどの課題も含んで拡大してまいりました。かねてより、人間−生活環境系へと拡張することが検討されてきておりましたが、第16回のパネルディスカッション「宇宙・地球・都市・建築・衣服・人間を結ぶ」でも示されたように、これからは本当の意味で、専門の枠を越えた学際的な研究が必要になって来ていると思われます。

 そこで、第17回からは、人間−熱環境系を人間−生活環境系へと広げて「人間−生活環境系シンポジウム」と改称し、より多くの分野の方々に、ご参加いただいて開催することにしました。

 これまでの準備委員会も組織として確立することとし、取扱う研究内容が広範囲にわたり横断的であるため、名称を「人間−生活環境系会議」として発足することにしました。

 その後、2003年の総会において名称の変更が検討され、満場一致で「人間−生活環境系学会」と変更することが決定され、名実ともに学会となりました。

 人間の生活環境の様々な課題を解決し、生活環境を快適にしていくために重要なことを挙げてみると、

1) 身近な生活環境を人間の特性の視点から深く検討する、
2) 生理、衛生、住居、被服などの多方面の研究成果を有機的に結合する、
3) 地球上の様々な気候の、様々な地域で、様々な民族が、様々な生活様式で生活している、生活環境の評価はそれぞれの地域の実態を良く把握して実情に則して行う、
4) 生活環境の保全は地球レベルの環境問題の原点であり、生活環境と地球環境の課題は切り放して議論するのではなく、システムとして広く体系的に把握していくことが重要である、
ことなどがあります。

 これらの成果により、住宅、被服、空調設備、自動車などを人間側から見直すことによって、製品の企画・設計段階で人間の生理心理特性に基いた計画をすることが出来るようになる、つまり、これまでとは逆にシンセシスを主体とした工学、産業として立て直すことができると思われます。換言すれば、人間の特性に基いた、人間のための学問と産業として21世紀へ向けて新たに再出発することであります。これにより、多くの産業分野、例えば住宅産業、繊維産業、空調産業、自動車産業、家電産業などの基盤を整備し、国民の生活の質を高めることができます。そして、これは人間の生理心理情報に重点を置いたソフト技術として、次世代のハイテクノロジーのひとつになると思われます。

 「人間−生活環境系学会」は、人間と生活環境に関連する広い分野の知識や技術を有機的に結合し、人間−生活環境系として体系化を図り、健康で快適に活動できる生活環境の実現に努め、人々の生活の質の向上に貢献することを目的とし、人間−生活環境系シンポジウムの開催、人間一生活環境系に関する実態調査研究、人間の生活環境を快適にするための研究と提言、人間−生活環境系に関する講習会、研修会などの開催、会誌「人間一生活環境系」とその他の刊行物の発行、内外の関連する組織および研究者、技術者、生活者との交流および協力活動などの事業を行います。

 つきましては、人間−生活環境系に関連する皆様方におかれましては、上述の趣旨をご理解いただき、会員または賛助会員としてご加入下さり、ご支援、ご協力賜りますようお願い申し上げます。